第16回では「統計情報」のアーキテクチャなどに関する内容をまとめてみました。
今回は、SQL Server の「サービスパック (SP)」、「累積的な更新プログラム (CU)」、「重要な更新プログラム (GDR/QFE)」 に関する内容を、自分の整理も兼ねてまとめてみようと思います。
サービスパック(SP)、累積的な更新プログラム(CU)、重要な更新プログラム (GDR/QFE)
サービスパック(SP)
サービスパック(SP) には、SQL Server の新機能/機能強化、修正プログラムが含まれている。
サービスパックは累積的であるため、最新のサービスパック(SP)には、以前のサービスパック(SP)に含まれていたすべての新機能、修正プログラムが含まれている。
[例]
SQL Server 2016 サービスパック 3 (SP3) には、SQL Server 2016 サービスパック 1 (SP1)、SQL Server 2016 サービスパック 2 (SP2) が含まれている。
[重要]
SQL Server 2017 以降、「サービスパック (SP)」の提供は行われなくなり、「累積的な更新プログラム (CU)」、「重要な更新プログラム (GDR)」のみが提供されるようにサービスモデルが変更されている。
そのため、SQL Server 2017 以降、「累積的な更新プログラム (CU)」の中に、SQL Server の新機能/機能強化が含まれるようになっている。
参考 URL
累積的な更新プログラム
- SQL Server 2016 以前
累積的な更新プログラム (CU) には、SQL Server の修正プログラムが含まれており、各サービスパック (SP) 毎に提供されている。
累積的な更新プログラム (CU) は累積的であるため、最新の累積的な更新プログラム (CU) には、以前の累積的な更新プログラム (CU) に含まれていたすべての修正プログラムが含まれている。
[例]
SQL Server 2016 サービスパック2 (SP2) 累積的な更新プログラム 17 (CU17) には、SQL Server 2016 サービスパック2 (SP2) 累積的な更新プログラム1 (CU1) から 16 (CU16) に含まれていたすべての修正プログラムが含まれている。
- SQL Server 2017 以降
サービスパック (SP) の提供が終了し、累積的な更新プログラム (CU) には、SQL Server の新機能/機能強化、修正プログラムが含まれている。
累積的な更新プログラム (CU) は累積的であるため、最新の累積的な更新プログラム (CU) には、以前の累積的な更新プログラム (CU) に含まれていたすべての新機能/機能強化、修正プログラムが含まれている。
重要な更新プログラム (GDR/QFE)
GDR (General Distribution Release) は、セキュリティの脆弱性、致命的な製品の問題を改善する修正プログラムのみが含まれた更新プログラムになっている。
QFE (Quick Fix Engineering) は、セキュリティの脆弱性、致命的な製品の問題を改善する修正プログラムに、累積的な更新プログラム (CU : 一般的には QFE提供時点で最も最新のCUが含まれる) が含まれた更新プログラムになっている。
※ GDR (General Distribution Release) は、累積的な更新プログラム (CU) の修正を適用せず、セキュリティの脆弱性、致命的な製品の問題のみを改善したい場合に適用することが可能となる修正プログラム。 累積的な更新プログラム (CU) を適用している場合は、GDR (General Distribution Release) を適用することができません。
- SQL Server 2016 以前
各サービスパック (SP) 毎に SQL Server の 重要な更新プログラム (GDR/QFE)が提供されている。
- SQL Server 2017 以降
サービスパック (SP) の提供が終了し、RTM (初期インストール状態 : CU 適用無し) に対応した 重要な更新プログラム (GDR/QFE) が提供されている。
各種SQL Server修正プログラムの適用手順について
サービスパック (SP) (SQL Server 2016 以前)
常に最新のサービスパック (SP) を適用可能
[例]
SQL Server 2016 RTM -> SQL Server 2016 SP3 : OK
SQL Server 2016 RTM + CU3 -> SQL Server 2016 SP3 : OK
SQL Server 2016 RTM + GDR -> SQL Server 2016 SP3 : OK
SQL Server 2016 RTM + QFE -> SQL Server 2016 SP3 : OK
SQL Server 2016 SP1 -> SQL Server 2016 SP2 : OK
SQL Server 2016 SP1 + CU5 -> SQL Server 2016 SP2 : OK
SQL Server 2016 SP1 + GDR -> SQL Server 2016 SP2 : OK
SQL Server 2016 SP2 -> SQL Server 2016 SP1 : NG
[注意]
重要な更新プログラム (GDR/QFE) 、累積的な更新プログラム (CU) が適用されている状態で サービスパック (SP) を適用する場合、適用する サービスパック (SP) に該当の 重要な更新プログラム (GDR/QFE)、累積的な更新プログラム (CU) で改修された修正プログラムが含まれているかを事前に確認することを推奨します。
仮に含まれていないことが確認できた場合、該当の 重要な更新プログラム (GDR/QFE)、累積的な更新プログラム (CU) で改修された修正プログラムが含まれている、適用後のサービスパック (SP) に対応した 重要な更新プログラム (GDR/QFE)、累積的な更新プログラム (CU) を確認し、適用する必要があります。
累積的な更新プログラム
- SQL Server 2016 以前
各サービスパック (SP) に対応した常に最新の累積的な更新プログラムを適用可能
[例]
SQL Server 2016 RTM CU2 -> SQL Server 2016 RTM CU5 : OK
SQL Server 2016 SP1 CU2 -> SQL Server 2016 SP1 CU5 : OK
SQL Server 2016 RTM CU5 -> SQL Server 2016 RTM CU2 : NG
SQL Server 2016 RTM CU5 -> SQL Server 2016 SP1 CU10 : NG
※ 一旦、SQL Server 2016 SP1 を適用後、SQL Server 2016 SP1 CU10 を適用する必要有。
- SQL Server 2017 以降
常に最新の累積的な更新プログラムを適用可能
[例]
SQL Server 2017 CU2 -> SQL Server 2017 CU5 : OK
SQL Server 2017 CU5 -> SQL Server 2017 CU2 : NG
重要な更新プログラム (GDR/QFE)
- SQL Server 2016 以前
各サービスパック (SP) に対応した常に最新の重要な更新プログラム (GDR/QFE) を適用可能
[例]
SQL Server 2016 RTM GDR -> SQL Server 2016 RTM GDR : OK
※ 適用する GDR のほうが最新の場合適用可能。
SQL Server 2016 RTM GDR -> SQL Server 2016 SP1 GDR : NG
※ 一旦、SQL Server 2016 SP1 を適用後、SQL Server 2016 SP1 GDR を適用する必要有。
SQL Server 2016 SP1 GDR -> SQL Server 2016 SP1 QFE : OK
※ 適用する QFE のほうが最新の場合適用可能。
SQL Server 2016 SP1 GDR -> SQL Server 2016 SP2 QFE : NG
※ 一旦、SQL Server 2016 SP1 を適用後、SQL Server 2016 SP1 GDR を適用する必要有。
SQL Server 2016 SP2 QFE -> SQL Server 2016 SP2 GDR : NG
- SQL Server 2017 以降
常に最新の重要な更新プログラム (GDR/QFE) を適用可能
[例]
SQL Server 2017 GDR -> SQL Server 2017 GDR : OK
※ 適用する GDR のほうが最新の場合適用可能。
SQL Server 2017 GDR -> SQL Server 2017 QFE(CU) : OK
※ 適用する QFE のほうが最新の場合適用可能。
SQL Server 2017 QFE(CU) -> SQL Server 2017 GDR : NG
※ 適用する QFE のほうが最新の場合適用可能。
まとめ
今回は、SQL Server の「サービスパック (SP)」、「累積的な更新プログラム (CU)」、「重要な更新プログラム (GDR/QFE)」 に関する内容をまとめてみました。
SQL Server 2016 以前の場合、適用された「サービスパック (SP)」 を考慮したうえで、適用する「累積的な更新プログラム (CU)」、「重要な更新プログラム (GDR/QFE)」を選択する必要がある点、「重要な更新プログラム (GDR/QFE)」が適用されている環境の場合、適用する「サービスパック (SP)」 に該当の「重要な更新プログラム (GDR/QFE)」が含まれているかを確認する必要がある点に注意する必要があるかと思います。
[補足]
各 SQL Server 毎の最新のサービスパック (SP)、累積的な更新プログラム (CU)、重要な更新プログラム (GDR/QFE) については、以下の URL で確認可能。
【第18回】基本から始める SQL Server【製品 ライフサイクル (サポート期間の考え方)】へ
※ 2022年3月時点