Windows Virtual Destop (WVD) について確認する機会があり、その中で「Citrix Cloud with WVD」について興味を持ったので、調べた内容を自分の整理もかねてまとめてみようと思います。
- 1) Windows Virtual Destop (WVD) について
- 2) Citrix Cloud with WVD について
- 3) Citrix Cloud with WVD のユースケースについて
1) Windows Virtual Destop (WVD) について
Windows Virtual Desktop (WVD) とは、マイクロソフトが提供している仮想デスクトップ (VDI : Virtual Desktop Infrastructure) サービスであり、本サービスをクラウドで提供しているため、DaaS (Desktop as a Service) の一つとなります。
Amazon WorkSpaces などの類似のサービスがありますが、WVDを使用するメリットは、以下のような感じでしょうか。
【メリット】
- Windows 10 Enterprise マルチセッション 機能
- Windows 7 ESU(Extended Security Updates:拡張セキュリティ更新プログラム)の無償提供
- Microsoft 365 E3/E5、Windows 10 Enterprise E3/E5 などのライセンスを保持している場合、すぐにWVDを使用可能
- WVD上で動作する仮想マシンとO365は マイクロソフトのバックボーンネットワークで通信が行われるため、高速にアクセスが可能
特に、Windows 10 Enterprise マルチセッション 機能は、WVDの最大のメリットなのではないかと思います。
Windows 10 Enterprise マルチセッション 機能の場合、1 仮想マシンを複数ユーザーで共有することが可能となるため、例えば、5 ユーザーで1 仮想マシンを共有することで、稼働させる仮想マシンを1台のみにできる分、正しくサイジングができれば、課金を抑えることが可能になりそうです。
WVDの詳細、使用するために必要なライセンスについては、以下を参照。
2) Citrix Cloud with WVD について
Citrix Cloud with WVD は、WVD ワークロードを制御する「WVD コントロール プレーン」機能を保有し、更に WVD ヘの付加価値を追加したサービスのようです。
Windows Virtual Desktop (WVD) のみでも十分、使用する価値があると思いましたが、Citrix Cloud with WVD を使用することで、 以下のような機能が使用可能になるようです。
【メリット】
- Auto Scale 機能による適正仮想マシン起動数制御 (VMコスト軽減)
- HDX(high definition experience)テクノロジーによる画面転送パフォーマンスの最適化 (アウトバウンドトラフィックの軽減)
- 完全な閉域接続の実現
- ロケーションに応じた最適な接続
- マスターイメージの更新機能
WVDのみを使用する場合においても、オンプレミス - 仮想マシン間については、ExpressRoute (専用線) で結ぶことで閉域構成が可能となりますが、WVD ワークロードを制御する「WVD コントロール プレーン」への通信において、外部アクセス (インターネット) する必要があるもようです。
しかしながら、Citrix Cloud with WVD の場合、Azure 上に Citrix StoreFront を構成し、ExpressRoute (専用線) を組み合わせて使用することで、完全閉域接続が可能になるとのことです。
また、VDIの台数が増えるほど、ネットワーク トラフィックの帯域が増え、画面転送のパフォーマンスが低下するなどの問題が発生しがちですが、HDX(high definition experience)テクノロジーにより、アウトバウンドトラフィックを軽減することが可能であり、パフォーマンス問題を解決できる可能性があるもようです。(条件によりトラフィックの軽減量は変わるとのことですが、1/4 程度の削減が期待できるもようです。)
3) Citrix Cloud with WVD のユースケースについて
Citrix Cloud with WVD のメリットを考慮すると、以下のようなユースケースがあるものと考えています。
【ユース ケース】
- VDIの要件として、完全な閉域接続を実現する必要がある場合
- オンプレミス上の Virtual Apps and Desktops (XenApp/Xen Desktop) をそのままクラウドへ移行したい場合
- VDIの台数が増え、アウトバンドトラフィックを軽減し、画面転送パフォーマンスを向上させたい場合
- Auto Scale 機能によって最適な仮想マシンのみを起動し、仮想マシンコストを削減したい場合
Citrix Cloud with WVD を使用するコストが追加で発生することになりますが、WVD ヘの付加価値の機能により削減できたAzure利用料分で賄うことでトータルのコストに大きな差異が発生しない状態になるのであれば、付加価値の機能を使用できる Citrix Cloud with WVD を選択したいと思いました。
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