2020年4月末、 Azure 東日本 - OCI 東京 (東日本) 間の相互接続が可能になりました。
相互接続というのは、Azure 東日本 ExpressRoute(専用線) と OCI 東京 FastConnect(専用線) にて、互いのデータセンター間を専用線で結ぶことが可能となり、例えば、Azure 上にデプロイした Web アプリケーション (Azure App Service、Azure仮想マシン上にデプロイした Web/アプリケーション サーバー) から OCI 上にデプロイした Oracle データベース (Oracle Cloud Infrastructure Exadata、Oracle Autonomous Databaseなど) に対して、高速ネットワークによるプライベート通信が可能になります。
また、Azure Active Directory (Azure AD) と Oracle Identity Cloud Service (IDCS) の統合により、Azure AD で認証用アカウントなどを集中管理が可能となり、シングル サイン オン (SSO) による認証連携も可能になるもようです。
詳細については、以下の URL を参照。
公開されている情報となりますが、Azure と OCI (Oracle Cloud Infrastructure) 間の相互接続によるメリットやユースケースとしては、以下のようなものがあるもようです。
[メリット]
- 信頼性、パフォーマンスを損なわない、拡張された完全に新しいEnterpriseクラウドテクノロジーの選択が可能
- パブリック クラウド未開拓エリアの開拓
- 既存投資の活用 (Oracle Database、Windows など、on-Premise で培ったノウハウを活かすことが可能)
[ユース ケース]
- Oracle アプリケーションをAzure上で起動し、Oracle データベースは OCI 上で起動する。
- カスタムアプリケーションをAzure上で起動し、Oracle データベースは OCI 上で起動する。
- Oracle もしくは カスタムアプリケーションを OCI 上で起動し、Azure上で起動しているアプリケーションと相互接続し、データを共有する。
- クラウド ネイティブ アプリケーションを新たにAzureで構築し、接続先のデータベースを OCIで稼働する Autonomous DB (Exadata) にする。
特に、Oracle Exadata Database を使用しているような大規模データベースの場合、Azure や AWS上に移行するリスクが高く、SQL Server や Amazon Aurora DB へのマイグレーションも困難であるため、クラウド化を諦め、塩漬けシステムとしてオンプレミス上で動作させ続けるという選択をしている企業にとっては、クラウド化の新しいオプションとして検討する価値はあるかもしれません。
自社に大規模データセンターを保持している企業の場合、「Oracle Cloud at Customer」(OCC) のように、自社のデータセンター上に 独自OCI を構築することを選択する企業もあるかもしれませんが、初期投資額が多くなるため、データを特定のデータセンター以外で保持することが出来ないなどの制約がない場合は、Azure と OCI (Oracle Cloud Infrastructure) 間の相互接続をまず検討してコスト比較をするのも良いかと思いました。
Azure と OCI (Oracle Cloud Infrastructure) 間の相互接続について、ニーズが出てくる場合は、もっと詳細にPoCなどを実施しようと考えています。
なお、アクセンチュア社から Azure - OCI 間の Round Trip Time (RTT) が 1.5ms 未満であったというレポートが出ているため、ネットワークのレイテンシについての検証というよりも、Oracle データベース (Oracle Cloud Infrastructure Exadata、Oracle Autonomous Databaseなど) の制限事項を確認し、オンプレミスで運用した場合とのコスト比較、既存システムで OCI 側の制限事項による影響度確認などの確認に時間をとることになるのではないかと思っています。
出典 :
https://www.accenture.com/_acnmedia/PDF-112/Accenture-Testing-Connection-Final.pdf